大豆の栄養素と効果効能の解説

大豆(だいず)




どんなもの?
大豆は、東アジア原産のマメ目マメ科ダイズ属の一年生作物。栽培の起源は古く、日本には約2000年前の弥生時代初期に中国から渡来したと言われています。日本で広く栽培が始まったのは鎌倉時代以降で、現在では世界中で広く栽培されています。大豆といえば、黄大豆をさすことが多いですが、黒、白、赤、緑などさまざまな種類の大豆が存在します。需要に対し国内生産量が少ないため、消費量の大部分を米国、ブラジル、カナダなどからの輸入に頼っています。

「だいず」は漢字で「大豆」と書きますが、これは「大いなる豆」の意味から名付けられたとされています。大豆はタンパク質が豊富で「畑の肉」、アメリカでは「大地の黄金」とも呼ばれています。大豆の用途は広く、味噌、醤油、納豆、甘納豆、豆腐、きな粉、おから、ゆば、油揚げ、厚揚げ、豆乳、大豆油など様々な加工品に利用されています。
大豆
カロリーは100gあたり・・・(乾)417kcal、(茹で)180kcal

主な成分としては、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)ビタミンE、ビタミンK、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、銅、亜鉛、モリブデン、食物繊維などを含みます。

大豆の特徴としては、アミノ酸スコアが100の良質な植物性タンパク質の他、脂質、ビタミンE、ビタミンB群、カリウム、カルシウムなどがバランスよく融合されている点にあります。 体のさまざまな部位を構成するタンパク質は代謝活動を促進し、体力を向上させる働きがあります。

脂質を構成する脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸のリノール酸が一番多く、100gあたり4100mg含まれます。リノール酸にはLDL(悪玉)コレステロールを下げる作用がありますが、HDL(善玉)コレステロールも同時に下げてしまうので、摂り過ぎると動脈硬化や高血圧を招きます。大豆油の摂り過ぎは要注意ですが、大豆やその加工食品を食べる時は量は多くないので、心配する必要はありません。

ビタミン類では、ビタミンB1ビタミンEが豊富に含まれます。ビタミンB1は糖質をエネルギーに分解するときの補酵素となるので、疲労からの回復を早めたり、脳の中枢神経や手足の末梢神経の機能を正常に保つ働きがあります。ビタミンEには抗酸化作用、免疫力向上、感染症の予防、美肌効果、発がん抑制作用などがあります。ミネラル類では、カリウムカルシウムが豊富です。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を尿とともに排泄してくれるので、高血圧の予防や動脈効果の予防に効果があり、カルシウムは大豆イソフラボンとともに骨粗鬆症を予防します。

最近注目の成分、大豆レシチン大豆サポニンには、体内での脂質の代謝を促進し、余分なコレステロールが血管壁に付着するのを防ぐ作用、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らす作用、肝機能を改善させる作用があります。また、大豆イソフラボンには、エストロゲン(女性ホルモン)に似た働きがあり、女性の更年期障害の改善や骨粗鬆症を予防します。また、不溶性食物繊維も100gあたり6.1gと豊富で、含まれる大豆オリゴ糖にも整腸作用があるので、便秘の予防改善にも有用です。

1990年代にアメリカの国立がん研究所が中心になってまとめた、天然の植物中に存在する、がん抑制作用がある食品群のリスト(デザイナーフーズピラミッド)でも、大豆は上位に位置しています。

効果効能
疲労回復、代謝活動の促進、免疫力向上、高血圧の予防、動脈硬化の予防、更年期障害の改善、老化防止、骨粗鬆症の予防、整腸作用、がん予防、前立腺がんの予防。


注意点
大豆は一定の頻度でアレルギーが発生する食品に分類されています。大豆イソフラボンはDNAの構造を正常に保つ働きを持つトポイソメラーゼIIを阻害し、遺伝子の異常を生じさせる可能性があることが報告されているので、妊婦、乳幼児、小児はサプリメントなどでの過剰摂取には注意しましょう。また、前立腺腫瘍の男性患者に大豆イソフラボンカプセル(398 ㎎/日:28 日間、796 ㎎/日:56 日間)を合計 84 日間摂取させたところ、女性化乳房、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)の増加などが認められたそうです。

大豆(茹で)100gあたりの栄養成分表
水分 タンパク質 脂質 炭水化物 灰分 廃棄率
63.5g 16.0g 9.0g 9.7g 1.8g 0%
ビタミンA B1 B2 B6 B12 ナイアシン
レチノール βカロテン 0.22mg 0.09mg 0.11mg 0μg 0.5mg
0μg 3μg
葉酸 パントテン ビオチン C D
39μg 0.29mg 11.1μg 0mg 0μg
E K ナトリウム カリウム カルシウム
α β γ δ 7μg 1mg 570mg 70mg
0.8mg 0.3mg 6.0mg 3.4mg
Mg リン 亜鉛 マンガン ヨウ素
110mg 190mg 2.0mg 2.0mg 0.24mg 0mg 0μg
セレン クロム モリブデン 食物繊維 脂肪酸 コレステロール
3μg 1μg 64μg 水溶性 不溶性 飽和 一価 多価 0mg
0.9g 6.1g 1.22g 1.73g 4.93g