鉄(Fe)
鉄(元素記号Fe) とは
・鉄は、体に3~4g存在し、そのうち約70%が酸素の運搬役と成るヘモグロビンの構成成分である「機能鉄」として蓄えられ、残りの約20%が肝臓、脾臓、その他は骨髄、筋肉などに存在している。
・鉄には、動物性食品に含まれるヘム鉄(二価鉄)と、植物性食品に含まれる非ヘム鉄(三価鉄)の2種類がある。
・腸管での吸収率は、ヘム鉄の25%に対して、非ヘム鉄は5%となっている。
・ヘム鉄はそのまま腸管で吸収することができるが、非ヘム鉄は結合している有機物が胃酸によって溶解し、イオンとして分離してからビタミンCなどの作用でヘム鉄に還元されたのち腸管から吸収される。
・植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」はビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が上がる。また、クエン酸も鉄を溶けやすくする。
・鉄の吸収を阻害するものとしては、赤ワインなどに含まれるタンニン、玄米などに豊富なフィチン酸、食物繊維などがある。
鉄の摂取基準表 | ||||||
年齢 | 推奨量 (mg/日) |
耐容上限量 (mg/日) |
||||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |||
月経なし | 月経あり | |||||
0~5月 | *0.5 | *0.5 | - | - | - | |
6~11月 | 5.0 | 4.5 | - | - | - | |
1~2歳 | 4.0 | 4.5 | - | 25 | 20 | |
3~5歳 | 5.5 | 5.0 | - | 25 | 25 | |
6~7歳 | 6.5 | 6.5 | - | 30 | 30 | |
8~9歳 | 8.0 | 8.5 | - | 35 | 35 | |
10~11歳 | 10.0 | 10.0 | 14.0 | 35 | 35 | |
12~14歳 | 11.5 | 10.0 | 14.0 | 50 | 50 | |
15~17歳 | 9.5 | 7.0 | 10.5 | 50 | 40 | |
18~29歳 | 7.0 | 6.0 | 10.5 | 50 | 40 | |
30~49歳 | 7.5 | 6.5 | 10.5 | 55 | 40 | |
50~69歳 | 7.5 | 6.5 | 10.5 | 50 | 40 | |
70歳以上 | 7.0 | 6.0 | - | 50 | 40 | |
妊婦 (付加量) |
初期 | - | +2.5 | - | ||
中期 | +15.0 | |||||
末期 | +15.0 | |||||
授乳婦 (付加量) |
+2.5 |
鉄の効果効能
・酸素の運搬、細胞呼吸に重要な役割を担っている。
・肝臓の解毒作用。
・貧血の予防。
・筋肉の収縮を助ける。
鉄が多く含まれる食品 | 100gあたりmg |
バジル/粉 | 120.0 |
タイム/粉 | 110.0 |
あおのり/素干し | 74.8 |
あゆ/天然、内臓、焼き | 63.2 |
かわのり/素干し | 61.3 |
ひじき/ほしひじき | 55.0 |
セージ/粉 | 50.0 |
いわのり/素干し | 48.3 |
あさり/缶詰/水煮 | 37.8 |
きくらげ/乾 | 35.2 |
あわび/塩辛 | 33.9 |
やつめうなぎ/干しやつめ | 31.6 |
チリパウダー | 29.3 |
カレー粉 | 28.5 |
あさり/缶詰 | 27.8 |
あゆ/天然、内臓、生 | 24.0 |
けし/乾 | 22.6 |
パプリカ/粉 | 21.1 |
せん茶 | 20.0 |
こしょう/黒、粉 | 20.0 |
鉄が多く含まれる肉類 | 100gあたりmg |
ぶた/スモークレバー | 19.8 |
ぶた/レバー/生 | 13.0 |
にわとり/レバー/生 | 9.0 |
すずめ/肉、骨・皮つき、生 | 8.0 |
ぶた/レバーペースト | 7.7 |
うし/第三胃/生 | 6.8 |
ビーフジャーキー | 6.4 |
にわとり/心臓/生 | 5.1 |
いなご/つくだ煮 | 4.7 |
うし/じん臓/生 | 4.5 |
はと/肉、皮なし、生 | 4.4 |
かも/肉、皮なし、生 | 4.3 |
うま/肉、赤肉、生 | 4.3 |
うし/レバー/生 | 4.0 |
やぎ/肉、赤肉、生 | 3.8 |
ぶた/じん臓/生 | 3.7 |
ぶた/心臓/生 | 3.5 |
うし/コンビーフ缶詰 | 3.5 |
うし/味付け缶詰 | 3.4 |
うし/心臓/生 | 3.3 |
鉄が多く含まれる野菜 | 100gあたりmg |
干しわらび、乾 | 11.0 |
きく/菊のり | 11.0 |
切干しだいこん | 9.7 |
干しずいき、乾 | 9.0 |
干しぜんまい/干し若芽、乾 | 7.7 |
パセリ/葉、生 | 7.5 |
とうがらし/果実、乾 | 6.8 |
よもぎ/葉、生 | 4.3 |
よめな/葉、生 | 3.7 |
ふだんそう/葉、生 | 3.6 |
つまみな/葉、生 | 3.3 |
だいこん/葉、生 | 3.1 |
よもぎ/葉、ゆで | 3.0 |
つるな/茎葉、生 | 3.0 |
かんぴょう/乾 | 2.9 |
ザーサイ/漬物 | 2.9 |
菜の花/花らい・茎、生 | 2.9 |
とうがらし/葉・果実、油いため | 2.8 |
とんぶり/ゆで | 2.8 |
こまつな/葉、生 | 2.8 |
鉄の不足
・貧血による運動機能、免疫力の低下、うつ症状。
・息切れ、めまい、慢性疲労。
・体温保持機能の低下。
*閉経前の女性は毎月の月経で血液を失うので、鉄欠乏性貧血になりやすい。また、極端な食事制限や間違ったダイエットも鉄不足を招く。
鉄の過剰摂取
・胃腸障害、鉄沈着症。
・体重1キロあたり30mgで急性中毒を起こす。
・鉄は小腸で吸収されるが、吸収量は1日に1~1.5 mgと極めてわずかであり、通常の食事で過剰症を起こす心配はない。