カキ(牡蠣)の栄養素と効果効能の解説

カキ(牡蠣)




どんなもの?
カキは、ウグイスガイ目イタボガキ科の二枚貝の総称。付着性の貝なので大きさはまちまちですが、マガキはだいたい殻長が5~8cm、殻高が10cm前後で、たまご型に近い形をしています。日本でカキと言えばマガキのことを指し、流通するほとんどが養殖ものです。

食用としての歴史は古く、あまり貝類を食べる習慣のない西洋諸国でも古代ローマ時代から養殖されていました。日本では縄文時代から食用され、広島でカキの養殖が始まったのが室町時代末期とされます。旨味成分のグルタミン酸、グリシン、アラニンに富み美味。マガキの旬は12月~2月、イワガキの旬は7月~8月。

牡蠣(かき)
カロリーは100gあたり・・・(養殖、マガキ、生)60kcal

主な成分としては、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンA(レチノール・βカロテン)、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)、ビタミンC、ビタミンE、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、銅、亜鉛などを含みます。

カキはタンパク質、脂質、コレステロールは少な目ですが、動物性食品にしては珍しく炭水化物は多い方です。カキの炭水化物は、そのほとんどがエネルギーに変わりやすいグリコーゲン(多糖類の一つ)なので疲労回復効果があります。

ビタミン類はビタミンB12が多い程度ですが、ミネラル類は亜鉛、銅、カルシウムなどが豊富に含まれています。特に亜鉛の含有量は全食品で比較しても断トツの多さです。亜鉛は免疫機能全般に関わる酵素の構成成分となっているので、不足すると免疫機能の低下が起きます。また、亜鉛は血糖降下作用を受け持つインスリンの合成にも必要なため、不足すると血糖値が一定範囲に収まろうとする能力(耐糖能)が低下します。さらに亜鉛には味覚機能を正常に保つ役割があります。人間は舌の表面に約9000個ある味蕾(みらい)と呼ばれる組織で食べ物の味を感じ取っていますが、この味蕾細胞は30日という短いサイクルで入れ替わり、その新陳代謝に亜鉛が深く関与しているので、亜鉛が不足すると味覚障害が起こります。牡蠣の豊富な亜鉛はこれらの予防改善に有用です。

銅の含有量も魚介類の中では上位です。銅は通常の食生活をしていれば不足することのないミネラルですが、銅が不足すると体内に鉄が十分に足りていても、ヘモグロビンが生成されず貧血の原因となります。カキは鉄分もそこそこ多いので、銅と合わせ貧血の予防改善に有効です。銅不足は他にも心血管系異常、糖質代謝異常などを起こします。

カキには含硫アミノ酸の一種であるタウリンも豊富です。タウリンには胆汁酸やインスリンの分泌促進作用、血圧を正常に保つ作用、血糖低下作用、肝機能の改善、血中の悪玉コレステロールを下げて善玉コレステロールを増やす作用、心筋の働きを正常に保つ作用などがあります。

効果効能
疲労回復、滋養強壮、免疫力向上、味覚を正常に保つ作用、皮膚や粘膜の健康維持を助ける作用、貧血の予防改善、血糖値の調整、肝機能の改善。


注意点
生食用のカキと加熱用のカキがありますが、これは鮮度による違いではなく、とれた海域と細菌数の違いなので加熱用のカキはたとえ鮮度が良くても生で食べないこと。また、塩分が多いので高血圧の人は食べ過ぎに注意。

かき、養殖(生)100gあたりの栄養成分表
水分 タンパク質 脂質 炭水化物 灰分 廃棄率
85.0g 6.6g 1..4g 4.7g 2.3g 75%
ビタミンA B1 B2 B6 B12 ナイアシン
レチノール βカロテン 0.04mg 0.14mg 0.08mg 28.1μg 1.4mg
22μg 6μg
葉酸 パントテン ビオチン C D
40μg 0.59mg 4.5μg 3mg 0μg
E K ナトリウム カリウム カルシウム
α β γ δ 0μg 520mg 190mg 88mg
1.2mg 0mg 0mg 0mg
Mg リン 亜鉛 マンガン ヨウ素
74mg 100mg 1.9mg 13.2mg 0.89mg 0.38mg 73μg
セレン クロム モリブデン 食物繊維 脂肪酸 コレステロール
48μg 4μg 4μg 水溶性 不溶性 飽和 一価 多価 51mg
0g 0g 0.23g 0.18g 0.32g