松の実の栄養素と効果効能の解説

松の実




どんなもの?
松はマツ科の一属で常緑の高木。北半球の温帯を中心に約100種が分布しています。日本で馴染みのあるクロマツやアカマツは種子が小さいのであまり食用に向かず、チョウセンゴヨウマツやイタリアカサマツなどの種子が主に食用にされます。下記の成分表はチョウセンゴヨウマツのものです。

松の実
カロリーは100gあたり・・・(生)669kcal

主な成分としては、脂質、タンパク質、炭水化物、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ナイアシン、パントテン酸)、ビタミンE、ビタミンK、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、銅、亜鉛、食物繊維などを含みます。

松の実は約68%が脂質でカロリーもクルミと同程度です。脂肪酸の構成を見ると、多価不飽和脂肪酸のリノール酸が一番多く、可食部100gあたり29000mg含まれます。次に多いのが一価不飽和脂肪酸のオレイン酸で可食部100gあたり17000mg含まれます。どちらもLDL(悪玉)コレステロールを下げる作用がありますが、リノール酸に関してはHDL(善玉)コレステロールも同時に下げてしまうので、摂り過ぎると逆に動脈硬化や高血圧を招くので注意が必要です。

ビタミン類ではビタミンEが豊富です。タミンEには生体膜や血中リポタンパク質に含まれる不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ細胞の老化を予防する効果、血行促進作用、生殖機能の維持、アルツハイマー病の認知機能の低下を抑制する効果も報告されています。

ミネラル類ではカリウム、マンガン、マグネシウム、鉄、亜鉛が豊富に含まれます。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を尿とともに排泄することで高血圧を予防する効果があります。マンガンは刺激伝達に深く関与するミネラルで骨の形成を促進する作用もありますが、通常の食生活で不足することないミネラルです。ベジタリアンやビーガンの方などはむしろマンガンの過剰摂取の方に注意が必要です。マグネシウムには、カルシウムの骨からの溶出を防ぐなど骨の代謝を正常に維持する作用や、便秘薬の成分に使われるなど便秘の予防改善効果も認められています。鉄は貧血の予防や肝臓の解毒作用。亜鉛は皮膚や粘膜の健康維持を助け、味覚を正常に保つ作用があります。

効果効能
疲労回復、滋養強壮、老化防止、動脈硬化の予防、高血圧の予防、味覚を正常に保つ作用、貧血の予防、血行促進、認知症の予防。



注意点
種子類にアレルギーのある人は避ける。

松の実(生)100gあたりの栄養成分表
水分 タンパク質 脂質 炭水化物 灰分 廃棄率
2.5g 15.8g 68.2g 10.6g 2.9g 0%
ビタミンA B1 B2 B6 B12 ナイアシン
レチノール βカロテン 0.63mg 0.13mg 0.17mg 0μg 3.6mg
0μg 0μg
葉酸 パントテン ビオチン C D
79μg 0.59mg 0μg 0mg 0μg
E K ナトリウム カリウム カルシウム
α β γ δ 1μg 2mg 730mg 14mg
10.8mg 0.6mg 4.4mg 0mg
Mg リン 亜鉛 マンガン ヨウ素
290mg 680mg 5.6mg 6.9mg 1.44mg 9.78mg 0μg
セレン クロム モリブデン 食物繊維 脂肪酸 コレステロール
0μg 0μg 0μg 水溶性 不溶性 飽和 一価 多価 0mg
1.0g 3.1g 5.09g 17.70g 41.01g