ゆり根(百合根)
どんなもの?
ゆり根は、ユリ科植物の隣茎(球根)のことで、主にオニユリ・ヤマユリ・コオニユリなどを食用とします。ゆり根は種となる球をつくるまでに3年、畑に植えてからの栽培に3年、合計6年の時間がかかる作物なので値段は高めです。日本で生産されるゆりの根は9割が北海道産で、旬は11月~2月。ホクホクとしたイモのような食感が楽しめます。
カロリーは100gあたり・・・(隣茎、生)125kcal
成分としては、水分、炭水化物、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸、ビオチン)、ビタミンC、ビタミンE、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、リン、鉄、銅、亜鉛、食物繊維などを含みます。
主成分は澱粉(炭水化物)なので高カロリーですが、即効性のエネルギー源としてすぐれています。ビタミン類はどれも少なめで、ビタミンC(100gあたり9mg)が目立つ程度。ただ、量は少なくてもユリ根のビタミンCはジャガイモ同様に、でん粉で守られているので熱破壊されにくい特徴を持っており、茹でても約90%が残ります。ミネラル類ではカリウムが非常に多く、野菜類の中ではトップクラスです。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を尿とともに排泄してくれるので高血圧の予防改善に役立ちます。
食物繊維は水溶性/不溶性とも豊富に含まれます。不溶性食物繊維は、大腸で水分を吸収して便のかさを増やし、腸壁を刺激して蠕動運動を促すので便秘の改善につながります。ゆり根に含まれるグルコマンナンなどの水溶性食物繊維は、粘性が高いため、一緒に食べたものと混ざり合ってゆっくりと胃腸内を進みます。そのため消化に時間がかかり、血糖値の急激な上昇を抑える作用、コレステロール調整作用、高血圧の予防改善、脂質異常症の改善などに効果があります。
百合根は漢方では百合(びゃくごう)とも呼ばれ、古くから滋養強壮、咳どめ、利尿、鎮静などに使われています。本草綱目(ほんぞうこうもく)には、肺や気管を潤し、咳を止め、利尿を促し、精神を安定させる働きがあると記されています。
効果効能
高血圧の予防改善、疲労回復、むくみの改善、整腸作用、便秘の改善、血中コレステロールの低下、脂質異常症の改善、血糖値抑制作用。
注意点
水溶性食物繊維には血糖値の上昇抑制作用が認められていますが、ゆり根は炭水化物(糖質)が多く高カロリーな食材なので、糖尿病の人はその点を考慮する必要があります。食用以外のユリの根は苦味が強いので、その辺のユリの根を掘って食べないこと。
ゆり根(りん茎、生)100gあたりの栄養成分表
水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 灰分 | 廃棄率 |
66.5g | 3.8g | 0.1g | 28.3g | 1.3g | 10% |
ビタミンA | B1 | B2 | B6 | B12 | ナイアシン | |
レチノール | βカロテン | 0.08mg | 0.07mg | 0.12mg | 0μg | 0.7mg |
0μg | 0μg |
葉酸 | パントテン | ビオチン | C | D |
77μg | 0mg | 1.6μg | 9mg | 0μg |
E | K | ナトリウム | カリウム | カルシウム | |||
α | β | γ | δ | 0μg | 1mg | 740mg | 10mg |
0.5mg | 0mg | 0mg | 0mg |
Mg | リン | 鉄 | 亜鉛 | 銅 | マンガン | ヨウ素 |
25mg | 71mg | 1.0mg | 0.7mg | 0.16mg | 0.96mg | 1μg |
セレン | クロム | モリブデン | 食物繊維 | 脂肪酸 | コレステロール | |||
1μg | 2μg | 1μg | 水溶性 | 不溶性 | 飽和 | 一価 | 多価 | 0mg |
3.3g | 2.1g | - | - | - |